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2024年02月05日 コラム

日本法人設立・株式取得等:外為法の対内直接投資とは?

 

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日本法人設立・株式取得等:外為法の対内直接投資とは? 制度解説 #経営者 #法務 #行政書士 #弁護士 #グローバル企業 #外資 #グローバル企業 #外資

 

Level Who When What :困りごと(解説の項目区分) How:解決案、具体的なフォーカス等
1 外資系企業全般、上場企業 日本法人設立前、株式譲渡または目的・事業変更などによる届出 日本法人設立前、または設立後に資本や事業などが変わった場合、手続が必要なのか、または処分を受けることがあるか知りたい。 コンプライアンス対応

設立禁止への対応や、設立後の事業変更、株式譲渡などM&A前後の事業の禁止や停止を防ぎたい。

 

結論(回答):

外国人などの非居住者である法人または個人が原則1つ以上の株式取得をする場合、日本で設立または設立後でも一定の取引や、外国人の役員就任を行う法人は、事業内容や行為などの規制とともに、手続が必要となります。最近の改正で、多くは次のような手続が生じます。

 

1. 事前届出

完了までの設立の禁止

2. 事後届出・実行報告

 

なお、上場企業の場合は1%以上となります。

 

~弁護士の方へ:弊社への連携・ご紹介~

グローバル企業を顧客とする弁護士でも外為法対内直接投資の手続は、経験がないことが多くあります。なぜならリスクが大きく、また経験がない専門家が対応する場合は、相当の金銭的または時間的損失を被ることもあります。

弊社は、M&Aやインバウンドを手掛ける外国法事務弁護士その他弁護士からの手続代行などについて実績もありますので、クライアントへの価値向上の一助にぜひお役立てください。

 

禁止期間とは?

事前届出の受理後、原則30日、場合によっては4か月まで、投資、すなわち設立や株式譲渡その他事業譲渡などの行為が不可能な期間として延長されます。

もし事前届出などが完了するまで登記ができても、禁止期間への違反等により処罰されることになります。

 

単に発起人や株主に外国人がいる場合でも必要となりうる点に注意が必要です。

さらに外国投資家やその関係者の役員就任についても手続が必要となりえます。

なぜなら、様々な産業が近年、経済安全保障上の重要な課題や分野とされているからです。

 

事前届出が必要な業種とは?

事前届出は指定業種について必要となります。

これに該当しなくても、事後届出などは必要となるため、指定業種でなくても規制があることに注意が必要です。

 

指定業種とは?

指定業種とは、国の安全に係る技術流出を防ぐために規制される業種です。直接、国家の安全に関係しない製造業などでも、可能性が一定程度あれば多く対象となることに注意が必要です。

すなわち可能性があるというもので対象となる指定が特徴であり、専門家がいないと難しい点です。広く告示に追加される改正が多くありました。インフラはもちろん、製造業としても広く、半導体や工作機械、またITですら広く指定されております。

 

分野拡大として、2020年度および2022年度で大きな改正があったため、未完了の外資系企業は今からでも対応が必要です。

特に次の分類について告示改正があったため、様々なITや製造業の手続が必要となります。

 

1. IT、サイバーセキュリティ関連

・情報処理関連の機器、部品、ソフトウェア製造業種

・情報サービス関連業種

2. 半導体製造装置等の製造業

半導体は、輸出許可等についても別途規制があります。対象は、その被覆などの技術的基準などによります。

3. 感染症に係る医薬品製造業、高度管理医療機器製造業

4. その他製造業

金属3Dプリンター、金属粉末などの製造業その他

5.  その他多数

カスタマーサポートだけでも該当することがあります。

 

特定取得とは?

特定取得とは、株式取得などが該当します。ベンチャーキャピタルや、M&Aなどで、外為法対内直接投資に該当するケースです。

特定取得の指定業種は別途存在します。

 

資本取引である対内直接投資の届出

金銭消費貸借契約や、保証契約でも対内直接投資に該当しうる規制となっております。例えば、次の該当取引があれば注意が必要です。

1. 一億円以上

2. 1年以上

 

役員就任の対内直接投資の届出

外国法人が指定業種である日本の企業に対して、外国法人の関係者を取締役や監査役に就任させる場合に、同意するとき。

 

事業変更・目的変更に係る対内直接投資の届出

指定業種に該当する(可能性がある)事業や目的を変更する場合

 

コア業種とは?

上記の指定業種の中で、国の安全を損なう恐れが大きい業種です。武器または武器に転用しやすい可能性があるものがコア業種の対象となります。

 

非上場企業への対内直接投資規制

1以上の株式取得や設立で、事前届出または事後届出などが必要となります。

 

上場企業への対内直接投資規制

1%以上の株式取得となるため、機関投資家でないと該当しにくいです。しかし、非上場である自社が該当するかどうかの類似企業との比較ができるように、下記のような企業が該当する企業となります。

建設業や製造業、ITなどが多く、外国人が関係する場合や、指定業種となる業種の多くが該当します。

本来は3,979の上場企業が該当しますが、下記は一部の例として載せておきます(2023年5月19日時点)。

 

株式会社極洋 KYOKUYO CO.,LTD.
株式会社ニッスイ Nissui Corporation
マルハニチロ株式会社 Maruha Nichiro Corporation
株式会社雪国まいたけ YUKIGUNI MAITAKE CO.,LTD.
カネコ種苗株式会社 KANEKO SEEDS CO.,LTD.
株式会社サカタのタネ SAKATA SEED CORPORATION
ホクト株式会社 HOKUTO CORPORATION
株式会社秋川牧園 AKIKAWA FOODS & FARMS CO.,LTD.
株式会社アクシーズ AXYZ CO.,Ltd.
株式会社ホーブ HOB Co.,Ltd.
ベルグアース株式会社 Berg Earth co.,ltd.
株式会社ホクリヨウ Hokuryo Co.,Ltd.
ルーデン・ホールディングス株式会社 RUDEN HOLDINGS CO.,Ltd.
株式会社エムビーエス mbs,inc.
株式会社ウエストホールディングス West Holdings Corporation
ショーボンドホールディングス株式会社 SHO-BOND Holdings Co.,Ltd.
株式会社ミライト・ワン MIRAIT ONE Corporation
インターライフホールディングス株式会社 INTERLIFE HOLDINGS CO.,LTD.
タマホーム株式会社 Tama Home Co.,Ltd.

 

出典元:財務省

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/press_release/20230519.html

 

事前届出の免除制度とは?

非上場、役員就任の制限などの規制対応により、一定範囲で、事前届出免除制度の対象となります。

ただし、コア業種は免除対象とならないことが通常であることに注意が必要です。

ちなみに、事後届出は必要であることを忘れてはなりません。

 

事前届出提出

行う前の6か月以内に届出の義務です。

30日間が投資禁止期間として、待機することになります。

審査は、さらに4か月延長もあります

つまり、30日の禁止期間だが、事前相談をすることで、4か月に延期されることを防ぐことになります。実際は取り下げ指導を受けるときに、延長されるか、取り下げ指導に応じる機会損失などの不利益を考えることになります。

 

届出書類とは?

届出書類のボリュームは多くありませんが、質問状などが届き、その対応が膨大になる場合もあり、設立や譲渡禁止などの期間が長くなるため、専門の行政書士などが事前に各行政庁と打ち合わせしてから、書類をつくらないと大きなリスクとなります。

単純な計算は次の通りです。

質問状が2行政庁から届いた場合:

 

10項目 × 3度の回答 × 2行政庁(財務省、経産省)

= 60項目の検討と回答を2か所の窓口と行うボリューム

 

 

インベストジャパン

投資促進のための、一週間で審査完了とされているが、実際はそうではありません。

なぜなら、長期化もあり、そのとき取り下げ指導などがあるので、場合によってその一週間というのは、取り下げ指導を受けた後の十分に熟した打合せと数度の回答のあとの結果となります。

 

~事前に準備が十分必要な事例~

検討が長引く複雑なケースとして、グループ関係図において資本関係や、資本取引、さらに役員関係を判断します。

最終支配者はどこなのかの特定が必要となります。

 

 

事例:ヒアリング事項

最初のヒアリングとしては次の通りです。

1. 投資家の国籍

中国や米国の法人

 

2. 1が法人である場合の出資者

その関係がわかるもの

 

3. 現在の事業

定款

実態を把握できるもの

 

4. 目的として行う業種または設立予定事業

内部資料などでもご安心ください。行政書士法上、一生の守秘義務を徹底します。

 

5. 役員の変遷

就任予定役員の経歴資料を確認

 

6. 貸付がある場合特有:その額と関係する負債額

外国決算書を拝見することも可能

 

報酬

報酬は、最初にご来所またはオンラインで説明し、合意をいただいてから受任しております。

お話をお聞きし、例えば、手続報酬が10万円から60万円などのようにご依頼の前に個別合意させていただきます。

 

1. 手続きが特定されている場合

例1. 事前届をやってほしいか、質問状の対応も含めるか

例2. 事後報告だけでよいかなど

例3. 設立や株式譲渡契約も並行して行うか

 

 

2. 手続特定がない場合:顧問プラン

通常は顧問報酬をいただき、調査と関係資料作成を、規模によって通常月額5万円から10万円などで対応させていただいております。

手続より調査や行政対応が膨大かつ難しい制度であり、依頼者による制度のご理解が必須であることと、最近は代理人に対する罰則も厳しくなっているので(例:罰金刑1億円など)、丸投げを避けるための趣旨でもあります。

 

結論

近年のグローバル企業または外資系企業でなくても外国投資家や役員が関係する企業は、年々多くなっており、手続数も年々増加傾向にあります。

さらに、指定業種拡大などにより、建設、製造業、ITなど幅広く対象とされる政策となっており、国や企業では、経済安全保障を重点化することが通常のポリシーになりつつあります。

また外国人雇用がある企業でも、情報持ち出しがあり、事件となりました。外為法違反はすべての日本企業や投資家、従業員が意識する問題となります。

弊社には、そのようなニーズを受けて、外国人投資と併せて、ビザと外為法に関して双方に対応できるレアな行政書士法人です。書類作成だけでなく、質問状への対応や、経営に詳しくMBAの人脈や知識も活用できる点で、業界トップクラスとされます。

専門の行政書士法人をお探しであれば、企業も弁護士もぜひ弊社にお声がけください。

 

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